
solo show "霧の歯"
◎会場
Cyg art gallery
(〒020-0024 岩手県盛岡市菜園1-8-15 パルクアベニュー・カワトク cube-Ⅱ B1F)
(〒020-0024 岩手県盛岡市菜園1-8-15 パルクアベニュー・カワトク cube-Ⅱ B1F)
◎日時
2025年3月29日(土)─4月20日(日)
11:00-18:00
11:00-18:00
[水曜日・木曜日 定休]
※4月15日(火)は休業いたします。
※営業時間・休業日の最新情報は Cyg art gallery ウェブサイト・SNSにてご確認ください。
作家在廊日
3月29日(土) 終日
※休憩などで不在の場合もございます。
◎入場料
無料
◎展覧会に寄せて・小林知世の言葉
ひとつの絵についての制作ノート
この絵は、祖母がデイサービスで描いてきた果物や花などの静物画を1ヶ月ほどかけて模写して作った。
対になる香水を使った画用紙の作品は、その制作のときの体験と感覚から作った。
祖母は元々絵を描くことやものを作ることが好きで、私は子どもの頃たくさん一緒に遊んでもらった。
認知症になってから、記憶や時間や空間の捉え方が変わっているように思える彼女と
一緒に過ごして 話して、絵を描いたり 描かれた絵をなぞったり眺めたりする。
続けていると、彼女がみている世界のかたちの一端に触れられるように感じる瞬間がある。
引いている途中で何を描いていたか見失ってよろめいた線、
むかし祖母が描いていた絵にあった、手癖はそのままある。
話しながら 子どもになる、祖母でなかった頃の彼女になる
忙しくして 自分がみている世界の 普通 を押し付けて
彼女に起こっていることや感情の機微を無視していたと思う。
このことに限らず どれ程たくさんのことをそうして無視してきただろう
模写をはじめて1ヶ月ほど経ったある夜、
いつものように制作場に向かって歩いている途中で つよい花の香りが漂ってきて、
みると道の傍に大きな百合の花が咲いていた。
絵の続きに着手して、模写している祖母の絵の中に出てくる 何かわからなかった線が百合であることに初めて気がついた。
何度も繰り返し描く中で、線や色は変換され続けて、次第に彼女と私の線が混ざって違うかたちがあらわれる。
なにかがあらわれたり、消えたりを繰り返す。
これは言葉で語ることのできるひとつのエピソードだけど、
絵を描いているとき、いろんなかたちの そうした無数の明滅のようなものがやってくる
この絵は、祖母がデイサービスで描いてきた果物や花などの静物画を1ヶ月ほどかけて模写して作った。
対になる香水を使った画用紙の作品は、その制作のときの体験と感覚から作った。
祖母は元々絵を描くことやものを作ることが好きで、私は子どもの頃たくさん一緒に遊んでもらった。
認知症になってから、記憶や時間や空間の捉え方が変わっているように思える彼女と
一緒に過ごして 話して、絵を描いたり 描かれた絵をなぞったり眺めたりする。
続けていると、彼女がみている世界のかたちの一端に触れられるように感じる瞬間がある。
引いている途中で何を描いていたか見失ってよろめいた線、
むかし祖母が描いていた絵にあった、手癖はそのままある。
話しながら 子どもになる、祖母でなかった頃の彼女になる
忙しくして 自分がみている世界の 普通 を押し付けて
彼女に起こっていることや感情の機微を無視していたと思う。
このことに限らず どれ程たくさんのことをそうして無視してきただろう
模写をはじめて1ヶ月ほど経ったある夜、
いつものように制作場に向かって歩いている途中で つよい花の香りが漂ってきて、
みると道の傍に大きな百合の花が咲いていた。
絵の続きに着手して、模写している祖母の絵の中に出てくる 何かわからなかった線が百合であることに初めて気がついた。
何度も繰り返し描く中で、線や色は変換され続けて、次第に彼女と私の線が混ざって違うかたちがあらわれる。
なにかがあらわれたり、消えたりを繰り返す。
これは言葉で語ることのできるひとつのエピソードだけど、
絵を描いているとき、いろんなかたちの そうした無数の明滅のようなものがやってくる
小林知世